はじめての入院生活 @ いよいよ手術の日

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子宮がんタイトル
6 〉いよいよ手術の日

手術前夜からの絶食と手術当日の早朝の浣腸で、
腸の中をキレイにしておく。
浣腸なんて死ぬほどイヤ!なんて思っていたけど、
案外淡々とスムーズにことが運んだ。ホッ・・・。
午後いちばんの手術に向けて、
術後の血栓予防のためのストッキングや点滴など準備がはじまる。
不思議と怖くない。不安の針が振り切ったよう。
あとは先生からのお呼びを心静かに待つだけ。

manaさん!お呼びが来ましたよ〜!

慌ただしく看護師が部屋に駆け込む。
さあ、いよいよ出発だ!
ストレッチャーに乗せられ、病室のみんなに見送られながら、

頑張ってくるよ〜〜〜〜!

なんて手を振って言ってみる。
私よりも緊張で固まっている主人に付き添われ、
とっても神妙なムードで廊下を移動。
なんだかドラマの主人公のみたい。
でもでも、そんな場面でもやたらと顔がニヤケてくる。
むかしから緊張するとニヤケル癖、
締まりが無いとよく叱られたなぁ。
こんなときでもシリアスなヒロインになれない自分を恨むわ。

ただただ見えるのは天井だけ。
廊下→エレベーター→また廊下、ああ眼が回りそう。
いよいよ手術室の扉の前に到着。
「行ってくるね!」と主人と手を握り合う。
何を行ってくるのかよく分らないけど、
さすがに胸迫るものがあり、少しだけ涙が滲む。

さぁ、いよいよだ!頑張ろうっ〜!

もうニヤケも引っ込んだ。
ここからは独りきりなんだ。戦闘体制開始!
手術室スタッフがきめ細かく言葉をかけてくれるので、
力んだものの次第に緊張も薄れてくる。
指には酸素濃度を測るキャップがはめられ、
胸には心電図のコードが貼られる。
手術の準備は着々と進められていく。
いよいよ腕に麻酔の注射を打たれる。
痛い筋肉注射と聞いていたが、思ったほどでもないみたい。
麻酔が効いてきたのか、なんだか頭がぼぉ〜としてきた。
さあ、つぎは恐怖の脊椎注射だ。
脊椎の骨がよく見えるように、
横向きになって海老のように背中を丸める。
こんな姿勢で注射を打たれるなんて恐怖の極地だ。
力を抜いてくださぁ〜い!って言われても

そんなことできましぇ〜〜〜〜ん!!!
(泣 泣 泣)

看護師3人に押さえ込まれようやく無事注射。
あれ?・・・ぜんぜん痛くないや・・・・・。
かなり細い針らしく本当にほとんど痛みを感じない。
一番怖かったこの注射が終わって、ほっとひと安心。
その後しばらくして「これ感じますか?」と
足に氷を当てられているようだけど、
まったく感覚がない。みごとに何も感じない!。
さっきの脊椎注射のお陰で、
胸の下あたりから麻痺している。

ひっ、すっごく不思議な感じなんですけど・・(汗)

下半身がコンクリート詰めにされたみたい。
こんな殺され方あったなぁ、大地震が起きたらどーするのぉ、
いらぬ妄想が頭を駆け巡る。逃げたくなってきたよ〜!
心なしか緊張する方向を間違えてるような・・・。

忙しい私をよそに手術の準備は着々と進められている。
いよいよ麻酔マスクが頭の上にやってきた。
これを吸わされるとまたたく間に眠ってしまうという例のもの。
私には効かなかったらどうしよう・・・・。
「ゆっくり数字を数えながら息を吸ってくださいね〜。」
と声がかかる。


い〜〜ち、にぃ〜〜、さ〜〜ん、
ワォ!ぜんぜん眠くならないよ〜〜〜!!!

カクッ・・・・・・・・・・。



「manaさぁ〜〜〜ん!起きてくださぁ〜〜〜い!
 わかりますかぁ〜〜〜!病室戻りましたよ〜〜〜!!!」

へ・・・?! しゅじゅつ・・・おわった・・の・・?
なんだか楽しい夢の途中でいきなり起こされる。
寝ぼけてぼんやりしている目に、主人や義理母の顔が見える。
あ・・・一瞬にして・・・終わってる・・・・・。

とはいえ手術室に入ってから、
出てくるまでに5時間が経っていた。
術後に一度起こされているはずがまったく記憶なし。
その後のレントゲン撮影も覚えていない。
とにかくぐっすりお眠りだったみたい。
お腹は痛み止めの薬がよく効いているのかちっとも痛くない。
ただただ全身が異様に寒い。
電気毛布まで掛けられてるなんてウソでしょ?!
歯がカタカタ鳴って、凍死しそうよ〜〜〜。

さむい・・・・さむい・・・さむい・・・。

うわごとのように繰り返しながらまた眠ってしまった。
次に起きたときにはびっしょりの汗。

あつい・・・あつい・・・あつい・・・。

身体のあちこちにから管が出ているらしく身動きが不自由だ。
こうして術後の夜は忙しなく、
無事に過ぎていくのであった。


7 〉緊張の病理検査の結果 -->








はじめに
1 〉あっけなくがん告知
2 〉恐怖で頭が真っ白け
3 〉手術説明を受ける
4 〉命について考える
5 〉はじめての入院
6 〉いよいよ手術の日
7 〉緊張の病理検査結果
8 〉放射線治療開始
9 〉治療を終えて思うこと

食べるという欲求
主治医のこと[1]
主治医のこと[2]
夫婦っていいもんだ
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